伊耶那美命の胸にいた雷神
どんな神さま?
黄泉の国の伊耶那美神の体にいた、八柱の雷の神のひとりです。亡くなった妻をつれもどしに行った伊耶那岐神が、約束をやぶって火をともし、中をのぞいたとき、妻の体には八柱の雷がうずくまっていました。火雷は、そのうち胸にいた雷で、頭の大雷の次に名前があげられます。
名前の「火」については、ふたつの説があります。ひとつは、ぴかっと光るいなびかりを、火に見立てたとする説。もうひとつは、落ちて火事をおこす雷をあらわすとする説です。雷が木や家に落ちると、火が出ることがあります。昔の人にとって、空から火がふってくることほど、おそろしいことはなかったでしょう。火雷は、雷のなかでも、とくにおそれられた神でした。
そのため、この神は、のちの時代にも各地でまつられました。奈良の葛城や、京都の乙訓には、古くから火雷の神をまつる社があります。京都の賀茂の神話では、川を流れてきた赤い矢が、じつは乙訓の火雷神で、その矢によって賀茂別雷命が生まれたと語られています。雷の神の子が、また雷の神になったのです。平安時代、都に雷が落ちて人びとをおそれさせたとき、それは菅原道真公の怒りだとされ、道真公は「火雷天神」とも呼ばれました。空の火をつかさどる、力づよい雷神です。
登場する主な神話
- 黄泉の国
- 八雷神の追跡
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 火雷
- 読み
- ほのいかずち
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00275
