伊耶那美命の体に生じた八柱の雷神
どんな神さま?
黄泉の国の伊耶那美神の体にいた、八柱の雷の神をまとめた呼び名です。亡くなった妻をつれもどしに黄泉の国へ行った伊耶那岐神は、「けっして見ないで」という約束をやぶり、櫛の歯を一本折って火をともし、御殿のなかをのぞきました。そこで見たのは、うじがわき、体じゅうに雷がうずくまる、妻のかわりはてた姿でした。
頭には大雷、胸には火雷、腹には黒雷、陰部には析雷、左手には若雷、右手には土雷、左足には鳴雷、右足には伏雷。あわせて八柱です。おどろいて逃げ出した伊耶那岐神を、伊耶那美神はまず黄泉の国の女たちに追わせ、次に、この八柱の雷神に、千五百もの黄泉の軍勢をつけて追わせました。伊耶那岐神は、剣をうしろ手にふりながら逃げ、黄泉比良坂のふもとで、桃の実を三つ投げつけます。すると雷神たちは、みな逃げ帰っていきました。
「いかづち」という言葉は、「いかめしい霊」、つまり、おそろしく力づよい神、という意味とされます。もとは雷だけでなく、おそろしい神ぜんたいをさす言葉だったともいわれます。死んだ体に雷がやどる、というのは、おそろしい光景です。けれども、雷は「稲妻」、稲をみのらせる力でもありました。死のなかに、次の命を生む力がひそんでいる。そう読むこともできます。
登場する主な神話
- 黄泉の国
- 黄泉比良坂の桃の実
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 八雷神
- 読み
- やくさのいかずちのかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00291
