川の入り江の名をもつ女神
どんな神さま?
川の入り江の名をもつ女神です。『古事記』の、大国主神の子孫をたどる系譜に登場します。国忍富神の妻となった葦那陀迦神の、「またの名」として記されています。つまり、葦那陀迦神と八河江比売は、同じひとりの女神のふたつの呼び名です。速甕之多気佐波夜遅奴美神の母にあたります。
名前の「八」は、数が多いこと。「河江」は、川の入り江、川が湖や海にそそぐあたりの、水がゆるやかによどむところです。「たくさんの川の入り江の姫」という意味になります。そうした水辺の神につかえる巫女をあらわす、とする説もあります。もうひとつの名前「葦那陀迦」は、葦の丈が高いこと。川の入り江は、葦がいちばんよくしげる場所です。ふたつの名前は、同じ風景をあらわしているのです。
葦のしげる入り江は、昔の人にとって、たからの場所でした。葦は、屋根をふき、すだれやよしずをあみ、たきぎにもなります。葦のあいだには、魚がたまごを生み、水鳥が巣をつくります。そして、葦原は、ひらけば、よい田んぼになりました。日本の国の古い名前「葦原中国」は、そんな葦のしげる国、という意味です。夫の名前は「国がすみずみまで富む」。川の入り江の姫と結ばれて、国がゆたかになる。葦原を田にかえて国をつくった人びとの歩みが、この夫婦の名前に重なります。
登場する主な神話
- 大国主神の子孫の系譜
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 八河江比売
- 読み
- やがわえひめ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00290
