黄泉平坂で伊弉諾尊が「これより来るな」と投げた杖から生まれた神。古事記の衝立船戸神に対応。道饗祭祝詞の「久那斗」とも
投げた杖から生まれた、道をふさぐ神
どんな神さま?
投げた杖から生まれた、道をふさぐ神さまです。『日本書紀』の一書に登場します。黄泉の国から逃げ帰った伊耶那岐神は、この世とあの世のさかいの坂で、追ってくる雷たちに向かって、「ここから先へは、来るな」と言って、杖を投げました。その杖が、岐神です。『日本書紀』は、「もとの名は、来名戸の祖神という」と記しています。
「くなと」は、「来な、と」。「来るな」という言葉が、そのまま名前になりました。それがなまって、「ふなと」。悪いものに向かって「来るな」と立ちはだかる神です。『古事記』では、禊の前に投げすてた杖から生まれた、衝立船戸神にあたります。杖は、道のさかいにつき立てる、しるしでした。
この神は、国譲りの物語にも、ちらりと登場します。『日本書紀』によると、国をゆずることをきめた大国主神は、剣の神たちに岐神をすすめて、「この神が、私にかわってお仕えするでしょう」と言いました。剣の神たちは、岐神を道案内にして国じゅうをめぐり、したがわない者をしずめます。道をよく知る神だからです。都の入口で悪いものをふせぐ道饗祭の祝詞では、「久那斗」の名前で、八衢比古神、八衢比売神とともにまつられています。村のさかいに立つ「さえの神」や道祖神のもとの姿とされます。入れてはならないものを、きっぱりとことわる。まもりの神さまです。
登場する主な神話
- 泉津平坂(黄泉比良坂)
- 道饗祭の祝詞
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 岐神
- 読み
- ふなどのかみ
- 区分
- 記紀の神(副:祭祀の神)
- 主な出典
- 日本書紀(神代上 第五段 一書第六)
- 図鑑番号
- K00379
