使命を忘れ、返し矢に倒れた天の神
どんな神さま?
つとめを忘れ、自分の放った矢でたおれた、若い天つ神です。地上を天の神にゆずらせるため、高天原は天之菩卑能命をつかわしましたが、三年たってももどりません。そこで次に選ばれたのが天若日子でした。りっぱな弓と矢をさずかって、地上に降ります。
ところが天若日子は、大国主神の娘・高比売命と結婚し、この国を自分のものにしようと考えて、八年たっても知らせをよこしませんでした。わけをたずねに来た雉の鳴女を、天佐具売のすすめにしたがって射殺してしまいます。矢は雉をつらぬいて高天原までとどきました。高御産巣日神は血のついた矢を見て、「もし悪い心があるなら、この矢に当たれ」と言って投げ返します。矢は、朝の床で寝ていた天若日子の胸をつらぬきました。
「返し矢はおそろしい」という言葉は、ここから生まれたとされます。葬儀には、鳥たちがそれぞれの役目でつかえ、姿のそっくりな友の阿遅志貴高日子根神が弔いにおとずれました。『古事記』は裏切り者としてえがきますが、名前に「神」も「命」もつかないこの若者は、のちの物語では七夕の彦星と重ねられ、愛される主人公にもなっています。
登場する主な神話
- 葦原中国の平定(国譲り)
- 雉の鳴女と返し矢
- 天若日子の葬儀
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 天若日子
- 読み
- あめわかひこ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00052
