木の花が散る名をもつ山の神の娘
どんな神さま?
木の花が散ることをあらわす名前の女神です。山の神・大山津見神の娘で、須佐之男命と櫛名田比売のあいだに生まれた八島士奴美神の妻となりました。そして布波能母遅久奴須奴神を生みます。その子孫が、やがて大国主神へとつながっていきます。物語は語られず、系譜に名前が記されるだけです。
この名前を見ると、だれもが思いうかべるのは、木花之佐久夜毘売でしょう。同じ大山津見神の娘で、こちらは「木の花が咲く」という名前です。咲く姫と、散る姫。ふたりは姉妹で、対になる名前をもっていると考えられています。花は桜のこととみる説がありますが、そうとはかぎらないとする説もあります。
花が散る、というと、さびしい感じがするかもしれません。けれども、花は散らなければ実になりません。稲の花も、咲いて、散って、はじめて米がみのります。咲くことと散ることは、命がつながっていくための、ひとつづきのいとなみです。咲く姫は、天から降りた神と結ばれて、天皇の祖先を生みました。散る姫は、出雲の神と結ばれて、大国主神の祖先を生みました。天と出雲、ふたつの大きな流れの、どちらのはじまりにも、山の神の娘である花の姫がいるのです。散ってゆく花の美しさを知る、日本らしい名前の女神です。
登場する主な神話
- 須佐之男命の系譜
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 木花知流比売
- 読み
- このはなちるひめ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00164
