櫛名田比売の母である国つ神
どんな神さま?
八俣遠呂智退治の物語に登場する、櫛名田比売の母です。出雲の国つ神で、夫は足名椎。ふたりのあいだには八人の娘がいましたが、毎年やってくる大蛇に、ひとりずつ食べられてしまいました。のこったのは、末の櫛名田比売だけです。その最後の娘をあいだにして、夫婦で泣いていたところへ、須佐之男命が通りかかります。
須佐之男命は、娘を妻にもらう約束をして、大蛇退治をひきうけました。そして足名椎と手名椎に、「何度もくり返してかもした強い酒をつくりなさい。垣根をめぐらして八つの門をつくり、門ごとに台をもうけて、酒をいれたおけをおきなさい」と命じます。夫婦は言われたとおりに準備をととのえました。大蛇は酒をのんでよいつぶれ、須佐之男命に切りきざまれます。娘をすくった酒をつくったのは、この母でした。
名前は、夫の足名椎と対になっています。「足をなでる」「手をなでる」。娘の手足をなでて、いつくしむ親の姿をあらわすとする説がよく知られています。稲や田の土にちなむ名とする説もあります。『日本書紀』では、夫婦ふたりで「稲田宮主神」の名をさずかったと伝えます。七人の娘を失い、それでも最後の娘をまもりぬいた母。その涙と手のぬくもりが、名前にのこっています。
登場する主な神話
- 八俣遠呂智退治
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 手名椎
- 読み
- てなずち
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00218
