葦の船で流された、はじめの御子
どんな神さま?
葦の船で流された、はじめての子です。天の御柱をめぐって夫婦となった伊耶那岐神と伊耶那美神のあいだに、最初に生まれました。けれども『古事記』は、「この子は葦の船に入れて流しすてた」と記しています。次に生まれた淡島とともに、子の数には入れられませんでした。
なぜうまく生まれなかったのか。二柱が天つ神にたずねると、柱をめぐったとき、女神のほうから先に声をかけたのがよくなかった、という答えでした。『日本書紀』には、三歳になっても足が立たなかったので、船にのせて風のままに流した、とあります。名前は、手足のなえた、ひるのような子、という意味とされます。「日る子」、つまり太陽の子という意味だったのではないか、とする説もあります。
神話は、流された子のその後を語りません。けれども、人びとは、この子を忘れませんでした。流れついた先で大切に育てられ、海のかなたから福をもたらす神「えびすさま」になった、という言い伝えが生まれたのです。兵庫県の西宮神社は、えびすさまの総本社で、この神をまつっています。いちどはすてられた子が、たいをかかえてにこにこと笑う福の神になる。弱いものによりそう、日本の人びとのやさしい心が生んだ物語です。商売繁盛、大漁の神として親しまれています。
登場する主な神話
- 国生み
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 水蛭子
- 読み
- ひるこ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00263
