満ち足りた生成の力を表す神
どんな神さま?
満ち足りた、生み出す力をあらわす神さまです。『古事記』や『日本書紀』の物語には登場しません。平安時代の『延喜式』に、宮中で巫女がまつる八柱の神のひとりとして、名前があげられています。神産日神、高御産日神、玉積産日神、生産日神、足産日神、大宮売神、御食津神、事代主神。この八柱が、天皇の体と心をまもる神々でした。
名前の「たる」は、「足りる」こと。十分にあって、欠けたところがないことです。「むすひ」は、ものを生み出し、育てる、ふしぎな力。「満ち足りた、生み出す力」という意味になります。すぐ前の生産日神の「いく」と、この神の「たる」は、対になる言葉です。「いきいきと」、そして「満ち足りて」。命の力が、あふれるほどに満ちているようすをあらわします。
昔の人は、「足る」という言葉を、とてもめでたいものと考えました。古い時代の天皇の名前には、「たらし」という言葉がよく使われています。満ち足りた、りっぱな方、という意味です。世界のはじまりの神・於母陀流神の「だる」も、同じ言葉とされます。もっともっと、とほしがるのではなく、いまあるものに満ち足りていること。それは、心のゆたかさでもあります。この八柱の神は、いまも皇居のなかで、大切にまつられています。足りていることに気づかせてくれる神さまです。
登場する主な神話
- 宮中八神
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 足産日神
- 読み
- たるむすひのかみ
- 区分
- 古典の神
- 主な出典
- 延喜式
- 図鑑番号
- K00335
