いきいきと湧く井戸を表す神
どんな神さま?
いきいきとわく井戸をあらわす神さまです。『古事記』や『日本書紀』の物語には登場しません。平安時代の『延喜式』に、宮中で巫女がまつる五柱の神のひとりとして、名前があげられています。生井神、福井神、綱長井神、波比岐神、阿須波神。この五柱は、宮殿の敷地をまもる神々とされました。
五柱のうち、三柱が井戸の神です。人がくらす場所には、まず何よりも、きれいな水がいります。飲み水、料理の水、洗いものの水。井戸がかれれば、そこにはすめません。宮殿を建てるときも、まずよい井戸をほることからはじめました。名前の「いく」は、いきいきとした命の力。「生井」は、水がいきいきと、たえることなくわき出る井戸、という意味です。
「井」は、昔は、ほった井戸だけでなく、わき水や、水をくむ場所ぜんたいをさす言葉でした。そこは、人があつまり、言葉をかわす場所でもありました。「井戸ばた会議」という言葉は、そこから生まれています。大阪市の坐摩神社は、この五柱をまつる古い社です。住まいをまもる神、旅の安全をまもる神、安産の神として信仰されています。島根県出雲市の御井神社にも、生井、福井、綱長井という三つの井戸がのこっています。水がこんこんとわくように、命と元気がわいてくる。そんな願いをこめて祈る神さまです。
登場する主な神話
- 宮中の座摩の神
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 生井神
- 読み
- いくいのかみ
- 区分
- 古典の神
- 主な出典
- 延喜式
- 図鑑番号
- K00339
