妻を追って海を渡った新羅の王子
どんな神さま?
妻を追って海をわたった、新羅の王子です。『古事記』の応神天皇の段に登場します。新羅の国で、日の光をうけた女が生んだ赤い玉。それを手に入れた天之日矛が、ねどこのそばにおくと、玉は美しい乙女にかわりました。ふたりは夫婦になり、妻は毎日、おいしいごちそうをつくって夫につくします。
ところが、天之日矛は、だんだんおごって、妻をののしるようになりました。妻は、「私は、あなたの妻になるような女ではありません。祖先の国へ帰ります」と言って、小船で海をわたり、難波へ去ってしまいます。この妻が、阿加流比売神です。天之日矛は、あわててあとを追いましたが、難波の海峡の神にさえぎられて、入ることができません。しかたなく、但馬の国にとどまりました。
但馬で土地の娘と結婚し、その子孫からは、お菓子の神さまとされる田道間守命や、神功皇后の母が出ます。持ってきた八つの宝は、伊豆志之八前大神としてまつられました。兵庫県豊岡市の出石神社の神です。地元には、この神が、岩山を切りひらいて泥の海の水を流し、ゆたかな平野をつくった、という言い伝えものこっています。大切な人を失ってから、その大切さに気づく。そんなにがい思いをした王子は、新しい土地で、国をひらく神になりました。
登場する主な神話
- 天之日矛の渡来
- 応神天皇の段
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 天之日矛
- 読み
- あめのひぼこ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記(応神天皇の段)・日本書紀(天日槍)。出石神社
- 図鑑番号
- K00383
