滑狭の地名に名を残す須佐能袁命の娘
どんな神さま?
なめらかな岩の言い伝えに名をのこす、出雲の女神です。『古事記』や『日本書紀』には登場しません。『出雲国風土記』の、神門郡滑狭郷のところに出てきます。須佐之男命の娘とされています。
風土記はこう語ります。「須佐能袁命の御子、和加須世理比売命が、ここにいらっしゃった。そのとき、天の下をおつくりになった大神が、妻として、おかよいになった。その社の前に、大きな岩があった。その表面は、とてもなめらかだった。そこで大神は、『なめらかな岩だなあ』とおっしゃった。それで、なめさという」。かよってきた大国主神が、思わずもらしたひとことが、土地の名前になったのです。
名前の「わかすせり」は、「若い、すせり」。『古事記』で、根の国から大国主神とともに逃げ出して正妻となった、あの須勢理毘売と同じ女神と考えられています。『古事記』では、蛇やむかでの部屋から夫をすくう、強く、やきもちやきの女神としてえがかれます。出雲の土地の言い伝えでは、夫がかよってくる、しずかな女神です。島根県出雲市の那売佐神社が、この女神をまつっています。近くの川の岩場には、流れにけずられてできた、つるつるの丸いくぼみがいくつもあり、風土記の「なめらかな岩」は、これのことだと伝えられています。千三百年前の言葉と、目の前の岩が、ぴたりと重なる。神話のふるさとの女神です。
登場する主な神話
- (記紀の神話には登場しません)
- 出雲国風土記・神門郡滑狭郷の地名由来
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 和加須世理比売命
- 読み
- わかすせりひめのみこと
- 区分
- 古典の神
- 主な出典
- 出雲国風土記
- 図鑑番号
- K00353
