海水が粒立ったときの猿田毘古神の名
どんな神さま?
猿田毘古神が海にしずんだときの、魂の名前のひとつです。天孫降臨の道案内をつとめた猿田毘古神は、役目をおえて伊勢へ帰りました。ところが、阿邪訶の海で漁をしていたとき、比良夫貝に手をはさまれて、海にしずんでしまいます。
『古事記』は、そのようすを三つの名前で伝えます。海の底にしずんでいたときの名が、底度久御魂。海の水が、つぶつぶと泡立ったときの名が、この都夫多都御魂。その泡がはじけたときの名が、阿和佐久御魂です。「つぶたつ」は、「粒が立つ」こと。水のなかで、息が小さな泡のつぶになって、ぷくぷくとのぼっていくようすをあらわしています。
三つの名前のまんなかにあるこの名は、しずんだ体から、息がはなれていく瞬間をとらえています。昔の人は、息と魂を、深くかかわるものと考えました。水のなかをのぼっていく泡のつぶは、体からはなれていく魂そのものに見えたのかもしれません。底にしずむ。泡のつぶが立つ。泡がはじける。三つの場面は、魂が体をはなれて、海から空へかえっていくまでをたどっているようです。海にもぐる海人たちは、息をとめて深くもぐり、海面にもどって大きく息をはきます。命がけの仕事のなかで、息と泡と命のつながりを、だれよりもよく知っていました。その人びとの感覚が、この名前にのこっていると考えられています。
登場する主な神話
- 猿田毘古神の最期
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 都夫多都御魂
- 読み
- つぶたつみたま
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00215
