幸いの玉の名をもつ天之甕主神の娘
どんな神さま?
幸いの玉の名をもつ女神です。『古事記』の、大国主神の子孫をたどる系譜に登場します。天之甕主神の娘で、大国主神のひ孫にあたる速甕之多気佐波夜遅奴美神の妻となり、甕主日子神を生みました。物語は語られず、名前と家族のつながりだけが記されています。
名前の「前玉」は、「さきたま」と読みます。「さき」は幸い、「たま」は玉、または魂のこと。「幸いをもたらす玉」、あるいは「幸魂」、つまり人をしあわせにする魂のはたらきをあらわすとされます。大国主神が国づくりにゆきづまったとき、海のかなたからあらわれて助けたのは、みずからの「幸魂・奇魂」だったと『日本書紀』は伝えます。幸魂は、国をゆたかにする力そのものでした。
この名前は、思いがけないところにのこっています。埼玉県行田市には前玉神社があり、前玉比売神をまつっています。そして「さきたま」という古い地名がなまって「さいたま」になり、いまの埼玉県の名前になった、といわれているのです。神社のまわりには、大きな古墳がいくつもならんでいます。出雲の系譜に名前だけが見える女神が、関東の大きな県の名前のもとになっている。神話と地図が、思わぬ形でつながっています。幸いをさずける女神です。
登場する主な神話
- 大国主神の子孫の系譜
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 前玉比売
- 読み
- さきたまひめ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00166
祀る主な神社
- 前玉神社 埼玉県公式サイト
