吉野川で魚をとっていた国つ神
どんな神さま?
吉野川で魚をとっていた国つ神です。神武天皇の東征の物語に登場します。熊野の山で道にまよった神倭伊波礼毘古命の一行は、天からつかわされた八咫烏のあとについて、けわしい山をこえました。そして吉野川の下流に出たとき、川にしかけをおいて魚をとっている人に出会います。
「おまえはだれか」とたずねると、その人は「私は国つ神、名は贄持之子です」と答えました。『古事記』は、この神を、阿陀の鵜飼の祖先だと記しています。阿陀は、いまの奈良県五條市のあたりです。鵜飼は、鵜という水鳥をあやつって、あゆなどの川魚をとる漁のこと。つまりこの神は、吉野川で鵜飼をしていた人びとの祖先なのです。一行はこのあと、光る井戸から出てきた井氷鹿、岩をおしわけて出てきた石押分之子に、次々と出会います。
名前の「贄」は、神や天皇にささげる、その土地の山や川、海の産物のことです。「贄をもつ者」、つまり、ささげものをたずさえてくる人、という意味になります。吉野の人びとは、のちの時代も、川のあゆや山の木の実を、朝廷におさめつづけました。たたかうのではなく、土地のめぐみをささげて新しい王をむかえる。吉野の清らかな川のほとりで、最初に出会った、おだやかな土地の神です。
登場する主な神話
- 神武東征
- 吉野の国つ神
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 贄持之子
- 読み
- にえもつのこ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00242
