岩を押し分けて現れた国つ神
どんな神さま?
神武天皇の東征の物語で、吉野の山に登場する国つ神です。熊野から八咫烏にみちびかれて山をこえてきた神倭伊波礼毘古命は、吉野川のほとりで、三人のふしぎな者に次々と出会いました。
ひとりめは、川で魚をとっていた贄持之子。ふたりめは、光る井戸から出てきた、尾のある井氷鹿。そして三人めが、岩をおしわけて出てきた、やはり尾のある者でした。名前をたずねると、「私は国つ神、名は石押分之子です。天つ神の御子がおいでになると聞いたので、おむかえにまいりました」と答えます。戦うのではなく、自分からむかえに出てきたのです。
この神は、吉野の国巣という人びとの祖先とされます。国巣は、山ふかくにくらし、木の実やかえるなどを食べる、古いくらしをまもる人びとでした。のちの時代には、宮中の大きな祭りのたびに都へのぼり、土地の産物をささげて、歌をうたい笛を吹くつとめをはたしました。「尾がある」というのは、けものの皮のしりあてをつけた姿のこととも考えられています。岩をおしわけて出てくる力づよさと、新しい王をむかえるすなおさ。山の民のすがたを伝える神さまです。
登場する主な神話
- 神武東征
- 吉野の国つ神
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 石押分之子
- 読み
- いわおしわくのこ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00073
