光る井戸から現れた国つ神
どんな神さま?
光る井戸からあらわれた、吉野の国つ神です。神武天皇の東征の物語に登場します。熊野から、八咫烏のみちびきで山をこえた神倭伊波礼毘古命の一行は、吉野川のほとりで、魚をとる贄持之子に出会いました。そこからさらにすすむと、こんどは、尾のある人が、井戸のなかから出てきます。その井戸は、光っていました。
「おまえはだれか」とたずねると、「私は国つ神、名は井氷鹿です」と答えます。『古事記』は、この神を、吉野首という一族の祖先だと記しています。このあと一行は、岩をおしわけて出てきた石押分之子にも出会いました。三人とも、たたかうことなく、新しい王をむかえ入れます。
名前の「いひか」は、「井光」、井戸が光ること、とされます。なぜ井戸が光るのでしょうか。吉野の山は、昔、水銀のもとになる赤い石がとれるところでした。その鉱石をほる、たて穴を「井」と呼び、そこが光って見えた、とする説があります。「尾がある」というのは、けものの皮を腰につけた、山ではたらく人びとの姿だとも考えられています。また、清らかな水がわき、日の光をうけてきらきらと光る泉の神、とみる説もあります。奈良県川上村には、井光という地名と、この神をまつる井光神社がのこっています。山ふかい吉野の、ふしぎな光の神さまです。
登場する主な神話
- 神武東征
- 吉野の国つ神
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 井氷鹿
- 読み
- いひか
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00310
