熊野で一行を苦しめた荒ぶる神
どんな神さま?
神武天皇の一行をたおれさせた、熊野のあらぶる神です。兄の五瀬命を失った神倭伊波礼毘古命は、日を背にして戦うため、船で紀伊半島を南へまわり、熊野に上陸しました。すると、大きな熊が、ちらりと姿を見せて、すぐに消えます。そのとたん、神倭伊波礼毘古命も、兵たちも、みな気を失ってたおれてしまいました。
そこへ、熊野の高倉下という人が、ひとふりの太刀をもってやってきます。その太刀をさし出すと、神倭伊波礼毘古命は「長くねてしまったなあ」と言って目をさましました。そして太刀を受けとったとたん、熊野の山のあらぶる神は、ひとりでにみな切りたおされ、兵たちも次々と目をさましたのです。
高倉下は、ふしぎな夢を見ていました。天照大御神と高御産巣日神が、建御雷神に「地上がさわがしい。おまえが降りて助けなさい」と命じます。建御雷神は「私が行かなくても、国をしずめたときの太刀があります。これを降ろしましょう」と答え、高倉下の倉の屋根に穴をあけて、太刀を落としたのでした。熊野の山は、深い森におおわれ、霧がたちこめる、神々の気配にみちた土地です。そのおそろしい力を、神の太刀がしずめた。この太刀は、いま奈良の石上神宮にまつられているとされます。
登場する主な神話
- 神武東征
- 熊野での危機
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 熊野山之荒神
- 読み
- くまののやまのあらぶるかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00158
