国忍富神を生んだ、長い名の神
どんな神さま?
『古事記』のなかでも、とくに長い名前をもつ神さまです。大国主神の子である鳥鳴海神の妻となり、国忍富神を生みました。大国主神の子孫をたどる系譜の、はじめのほうに登場します。物語は語られていません。
この名前には、ふしぎなところがあります。鳥鳴海神の「妻」なのに、名前のなかに「男」の字が入っているのです。女神の名前に「男」がつくのは、おかしなことです。そこで、もとの文は「日名照額田毘道男神の娘である、伊許知邇神」と書かれていたのに、書きうつしていくうちに「の娘」の部分がぬけ落ちて、父と娘のふたりの名前が、ひとつにつながってしまったのだろう、とする説が有力です。つまり、ほんとうの妻の名前は「伊許知邇神」で、その父が「日名照額田毘道男神」ということになります。
『古事記』は、千三百年ものあいだ、人の手で書きうつされて、いまに伝わりました。そのあいだに、字がぬけたり、かわったりすることもあったのです。名前の意味については、「日名照」を、いなかまでてらす、あるいは日がてることとみる説などがありますが、はっきりしていません。「額田」は、地名や氏族の名前にも見える言葉です。ひとつの長い名前のなかに、ふたりの神がかくれているかもしれない。古い書物を読むおもしろさを教えてくれる神さまです。
登場する主な神話
- 大国主神の子孫の系譜
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 日名照額田毘道男伊許知邇神
- 読み
- ひなてりぬかたびちおいこちにのかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00258
