黄泉の国にいるとされる神
どんな神さま?
死者の国である、黄泉の国の神さまです。『古事記』には、たったいちどだけ、名前が出てきます。亡くなった妻をむかえに来た伊耶那岐神が、「いとしい妻よ、ふたりでつくった国は、まだできあがっていない。帰ってきておくれ」と呼びかけたときのことです。
伊耶那美神は、御殿の戸のむこうから答えました。「くやしいことです。もっと早く来てくださればよかったのに。私はもう、黄泉の国のかまどでたいたものを食べてしまいました。けれども、いとしいあなたが来てくださったのは、おそれ多いこと。帰りたいと思います。しばらく、黄泉神と相談してまいります。そのあいだ、どうか私を見ないでください」。黄泉神は、この言葉のなかにだけ登場します。
その国の食べものを口にすると、もうその国の者になって、もとの世界には帰れない。この考え方は、世界の各地の神話にあります。伊耶那美神は、黄泉の国の者になってしまったので、帰るには、その国の神のゆるしがいりました。黄泉神がどんな姿で、何と答えたのか、『古事記』は何も語りません。相談の結果を聞く前に、伊耶那岐神が待ちきれず、中をのぞいてしまったからです。もし待っていたら、どうなっていたのでしょうか。姿を見せない、なぞの神。死者の国のしずかな主です。
登場する主な神話
- 黄泉の国での伊耶那美命の言葉
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 黄泉神
- 読み
- よもつかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00299
