伊耶那岐神の涙から生まれた女神
どんな神さま?
涙から生まれた、泣く女神です。火の神を生んだ伊耶那美神は、大やけどを負って亡くなってしまいました。夫の伊耶那岐神は、「いとしい妻を、子どもひとりとひきかえにしてしまうとは」となげき、なきがらの枕もとにはらばい、足もとにはらばって、声をあげて泣きます。そのとき、こぼれた涙から生まれたのが、泣沢女神です。
『古事記』は、この女神を「香山の畝尾の木本にいらっしゃる神」と記しています。奈良の天の香具山のふもとです。いまも橿原市に、この女神をまつる小さな神社があり、社殿のかわりに井戸をご神体としています。こんこんと水のわく井戸が、つきることのない涙に重ねられたのでしょう。名前は、沢の水がさわさわと音を立てることとも、「さわ」をたくさんの意味にとって、たくさん泣くことともいわれます。
『万葉集』には、皇子の命が助かるようにと、泣沢の神社に酒をそなえて祈ったけれど、かなわなかった、となげく歌があります。命をつなぎとめてくれる神として、信じられていたのです。昔の葬儀には、大きな声で泣いて、亡き人の魂を呼びもどそうとする、泣き女がいました。この女神は、その姿を神にしたものとも考えられています。悲しいとき、思いきり泣くこと。それは、弱さではありません。
登場する主な神話
- 伊耶那美命の死
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 泣沢女神
- 読み
- なきさわめのかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00234
神さまホスピタルでの配役
No.24 心理公認心理師・心理職涙と心に寄り添い、悲しみを受け止める関連する神さま
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