春の神と結ばれた出石の乙女
どんな神さま?
だれの求婚も受けなかった、出石の乙女の女神です。『古事記』の応神天皇の段に登場し、八つの宝の神である伊豆志之八前大神の娘とされます。たいへん美しく、多くの神々が妻にしたいと願いましたが、だれひとりかなえられませんでした。
秋の山の神・秋山之下氷壮夫もことわられたひとりです。兄は弟の春山之霞壮夫に「おまえなら妻にできるか」とたずね、できたらごちそうを贈ると賭けをしました。弟が母に相談すると、母はひと晩のうちに、藤のつるで衣、はかま、くつ下、くつを織りあげ、弓と矢もつくって持たせます。弟がそれを身につけて乙女の家へ行くと、衣も弓矢も、いっせいに藤の花にかわりました。
弟は花ざかりの弓矢を、家の手洗い場にかけておきます。乙女は「なんてふしぎな花でしょう」と手にとって部屋へ持ち帰り、弟はそのあとについて入って、ふたりは結ばれました。やがて子がひとり生まれます。力や身分ではなく、花のおくりものが乙女の心をひらいたのです。寒い秋ではなく、花のさく春をえらんだ乙女の物語は、但馬の山あいにめぐってくる春のよろこびを伝えているようです。
登場する主な神話
- 秋山と春山の兄弟
- 応神天皇の段
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 伊豆志袁登売神
- 読み
- いずしおとめのかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00068
