春の山にかかる霞をあらわす弟神
どんな神さま?
春の山にたなびく霞をあらわす、弟の神さまです。『古事記』の応神天皇の段に登場します。兄は、秋の山の紅葉をあらわす秋山之下氷壮夫。春と秋、霞と紅葉。季節の美しさを、ふたりの兄弟としてえがいた物語です。
但馬の出石に、だれの求婚も受け入れない、美しい伊豆志袁登売神がいました。兄も断られたひとりです。兄は弟に言いました。「おまえが妻にできたら、私は上下の衣をぬいで贈り、身の丈ほどのかめに酒をつくり、山や川のごちそうをすべてそろえてやろう」。弟が母に相談すると、母はひと晩で、藤のつるから衣とはかま、くつ下とくつを織りあげ、弓と矢もつくりました。それを身につけて乙女の家へ行くと、衣も弓矢も、みな藤の花にかわります。乙女がふしぎに思って花を持ち帰るあとについて入り、弟は結婚をかなえました。
ところが兄は、くやしがって、賭けの品をはらいません。母は「神の世のことは、神のやり方にならうべきなのに」と怒り、弟に命じて、竹と塩と石をつかった呪いをかけさせました。兄は八年のあいだ、やせおとろえて苦しみます。春の神が、花の力で恋をかなえる。山が霞につつまれ、藤の花がさく春のよろこびが、そのまま物語になっています。
登場する主な神話
- 春山と秋山の兄弟の妻争い(応神天皇の段)
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 春山之霞壮夫
- 読み
- はるやまのかすみおとこ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00255
