和歌に詠まれてきた、佐保山の春の女神
どんな神さま?
春をつかさどる女神です。『古事記』や『日本書紀』の神話には登場しません。奈良の都の東にある、佐保山という山を、女神に見立てたものです。和歌や俳句の世界で、千年以上も親しまれてきました。
なぜ、佐保山が春の女神なのでしょうか。昔、中国から伝わった考え方では、季節と方角がむすびついていました。春は東、夏は南、秋は西、冬は北です。奈良の都から見て、東にあるのが佐保山。だから、佐保山の神は、春の神とされたのです。都の西にある竜田山の神は、秋の女神・竜田姫。ふたりは、春と秋、東と西で、対になっています。
佐保姫は、そめものと機織りが上手な女神、とされます。春になると、山に白い霞がたなびきます。あれは、佐保姫が織った、うすい絹のころも。野山の若葉が、やわらかな緑にそまっていくのは、佐保姫がそめた糸。川べの柳が、風にゆれるのは、佐保姫の髪。昔の歌人たちは、春のけしきを、そんなふうにうたいました。「佐保姫」は、春の季語です。冬がおわり、霞がたち、花がさきはじめる。その春のおとずれを、ひとりの女神の姿として思いえがく。自然を友だちのように感じる、日本の人びとのゆたかな心が生んだ女神です。春のお菓子の名前にも、よく使われています。
登場する主な神話
- (和歌の世界で親しまれた神で、記紀の神話には登場しません)
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 佐保姫
- 読み
- さほひめ
- 区分
- 習合・信仰の神
- 主な出典
- 春をつかさどる女神。奈良の佐保山の神霊で、和歌の世界で親しまれた(記紀の神ではない)
- 図鑑番号
- K00393
