海に身を投じて夫を救った后
どんな神さま?
海に身を投げて、夫をすくった后です。倭建命の后で、東の国ぐにをしずめる旅に、ともについていきました。一行が、相模から房総へ、走水の海をわたろうとしたときのことです。海の神が大波をおこして、船はぐるぐるとまわるばかりで、すすむことができません。
そのとき、弟橘比売命が言いました。「私が、あなたのかわりに海に入りましょう。あなたは、命じられたつとめをはたして、都にお帰りください」。そして、波の上に、すげのたたみ、皮のたたみ、絹のたたみを、何枚も重ねてしき、その上におりていきます。すると、あらい波はたちまちしずまり、船はすすむことができました。海に入る前に、后は歌をよみます。相模の野で、もえさかる火にかこまれたとき、火のなかに立って、私の身を気づかって声をかけてくださった、あなた。その思い出をうたった歌でした。
七日ののち、后の櫛が、浜に流れつきました。人びとは、その櫛をおさめて、お墓をつくります。東の国をしずめた帰り道、倭建命は、足柄の坂の上に立って、三度ため息をつき、「ああ、わが妻よ」となげきました。それで、東の国を「あずま」と呼ぶようになった、と『古事記』は伝えます。愛する人のために、すべてをささげた后。神奈川県横須賀市の走水神社などにまつられています。
登場する主な神話
- 倭建命の東征
- 走水の海
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 弟橘比売命
- 読み
- おとたちばなひめのみこと
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記・日本書紀(倭建命の后)
- 図鑑番号
- K00381
