黄泉の追っ手を退けた桃の実の神
どんな神さま?
黄泉の国の追っ手をしりぞけた、桃の実の神さまです。かわりはてた妻の姿を見て逃げ出した伊耶那岐神を、黄泉の国の女たち、八柱の雷神、千五百もの軍勢が追いかけました。髪飾りを投げ、櫛を投げ、剣をふりながら走った伊耶那岐神は、ようやくこの世とあの世のさかい、黄泉比良坂のふもとにたどりつきます。
そこには桃の木が生えていました。伊耶那岐神が実を三つとって投げつけると、追っ手はみな逃げ帰っていきます。助けられた伊耶那岐神は、桃の実に語りかけました。「おまえが私を助けたように、この国に生きる人びとが苦しいめにあって悩んでいるとき、助けてやっておくれ」。そして、意富加牟豆美命という名前をさずけます。「大いなる神の実」という意味と考えられています。
桃には悪いものをはらう力がある、という考え方は、古く中国から伝わったとされます。三月の桃の節句や、鬼を退治する桃太郎の物語にも、その考えが生きています。この神話でおもしろいのは、神が人間のしあわせを願う言葉が、『古事記』のなかではじめて出てくることです。苦しむ人を助けなさい、とたのまれた果物の神さま。病気や災いをよせつけない守り神として信仰されています。
登場する主な神話
- 黄泉の国
- 黄泉比良坂
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 意富加牟豆美命
- 読み
- おおかむずみのみこと
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00102
関連する神さま
- 伊邪那岐命(イザナギ) いざなきのかみ図鑑のページ
