都の左京に祀られた祝詞の神
どんな神さま?
祝詞をつかさどる神さまです。『古事記』や『日本書紀』の物語には登場しません。平安時代の『延喜式』に、太詔戸命神の名前で、都の左京に、久慈真智命神とともにまつられていたことが記されています。その社は、のちにたえてしまい、いまはのこっていません。
「ふとのりと」は、「りっぱな祝詞」という意味です。祝詞は、祭りのとき、神に申しあげる言葉のこと。天の岩戸の前で、天児屋命がおごそかにとなえたのも、「ふとのりと」でした。昔の人は、言葉には魂がやどっていて、よい言葉を口にすればよいことがおこり、悪い言葉を口にすれば悪いことがおこる、と信じました。これを「言霊」といいます。神に向かってとなえる祝詞は、言葉の力を、いちばん強くはたらかせるものでした。
ならんでまつられた久慈真智命神は、うらないの神とされます。昔の朝廷では、亀のこうらを焼いて、そのひびわれの形で神の心をうらないました。うらないの前には、祝詞をとなえて神を呼び、うらないのあとには、神に感謝します。うらないと祝詞は、いつもひと組でした。ふたりの神は、都でうらないをする人びとの守り神だったと考えられています。天児屋命と同じ神とする説もあります。ていねいな言葉は、人の心にも、神の心にもとどく。言葉を大切にする神さまです。
登場する主な神話
- 京中の式内社
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 太祝詞神
- 読み
- ふとのりとのかみ
- 区分
- 古典の神
- 主な出典
- 祝詞・古代祭祀
- 図鑑番号
- K00345
