倭建命が西征の帰りに従わせた神
どんな神さま?
『古事記』の倭建命の物語に、名前だけが見える神さまです。西の国の熊曾建を討ちとった倭建命は、都へ帰る道すがら、「山の神、河の神、また穴戸の神」をみな言葉で従わせ、おだやかにしたと記されています。穴戸神は、このときにしずめられた神のひとつです。
「穴戸」は、陸と陸のあいだのせまい海、つまり海峡をさす言葉です。本州と九州をへだてる関門海峡のあたりは古く「穴門」と呼ばれ、のちの長門国の名のもとになりました。穴戸神はこの海峡の神とする説が有力で、ほかに吉備の穴海とする説もあります。
潮の流れが速い海峡は、昔の船旅でいちばんの難所でした。そこには荒ぶる神がいて、通る人をさまたげると考えられていたのです。倭建命が武器ではなく言葉で神をしずめたと語られるのは、力だけでなく言葉にも世界を動かす力があると信じられていたからでしょう。短い一文のなかに、古代の旅のこわさと祈りが残っています。
登場する主な神話
- 倭建命の西征
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 穴戸神
- 読み
- あなとのかみ
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 古事記
- 図鑑番号
- K00009
