石凝姥神の親とされる鏡作りの神
どんな神さま?
鏡づくりにかかわる神さまです。『古語拾遺』では、天の岩戸の場面で鏡をつくった石凝姥神、つまり伊斯許理度売命の親として、名前が記されています。『日本書紀』の一書では、鏡づくりの人びとの遠い祖先である天糠戸が、自分で鏡をつくった、と語られています。伝えによって、鏡をつくったのが親なのか子なのか、ちがいがあるのです。
くわしい物語は伝わっておらず、系譜のなかに名前がのこる神さまです。けれども、その子がつくった鏡は、日本でいちばん大切な鏡になりました。岩戸の前にかざられ、天照大御神の姿をうつして、世界に光をとりもどした鏡。のちに三種の神器のひとつとなる、八咫鏡です。その鏡づくりのわざは、親から子へと受けつがれたものでした。
昔の鏡は、ガラスではなく、銅でつくりました。とかした銅を型に流しこみ、かたまったら、表面を根気よくみがきあげます。みがけばみがくほど、顔がはっきりうつるようになります。名前の「ぬか」は、米ぬかのことで、鏡をみがく粉とかかわるのではないか、とする説もあります。奈良県田原本町には、鏡づくりの人びとがすんだ土地があり、鏡作神社が、この神と子の伊斯許理度売命をまつっています。いまも、鏡やガラス、美容にたずさわる人びとがおとずれます。わざを子につたえた、鏡づくりの親神です。
登場する主な神話
- 天の岩戸
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 天糠戸命
- 読み
- あめのぬかとのみこと
- 区分
- 古典の神
- 主な出典
- 古語拾遺
- 図鑑番号
- K00331
