鹿の血に稲をまいた讃容の女神
どんな神さま?
鹿の血に稲をまいて、ひと晩で苗を育てた女神です。『古事記』や『日本書紀』には登場しません。『播磨国風土記』の、讃容郡のところに出てきます。玉津日女命ともいいます。讃容は、いまの兵庫県佐用町のあたりです。
風土記はこう語ります。大神と、その妻のふたりの神が、どちらがこの国を自分のものにするか、きそい合いました。そのとき、妻の玉津日女命は、生きている鹿をつかまえてねかせ、そのおなかをさいて、流れる血に稲の種をまきます。すると、たったひと晩で、苗が生えました。女神は、すぐにその苗をとって、田に植えさせます。それを見た大神は、「おまえは、五月の夜のうちに、もう植えてしまったのか」と言って、ほかの土地へ去っていきました。
それで、この地を五月夜の郡と名づけ、女神を賛用都比売命と呼ぶようになった、といいます。「さよ」は、五月の夜のこと。「さ」は、田の神や稲をさす古い言葉で、「さつき」「さなえ」「さおとめ」の「さ」と同じです。けものの血に、作物を育てる強い力がある、という考え方は、世界の各地に見られます。おそろしい話にも聞こえますが、命をいただいて、命を育てる、ということでしょう。夫の神にきそい勝って、土地の主となった、力づよい女神です。佐用町の佐用都比売神社にまつられています。
登場する主な神話
- (記紀の神話には登場しません)
- 播磨国風土記・讃容郡の地名由来
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 賛用比売命
- 読み
- さよひめのみこと
- 区分
- 古典の神
- 主な出典
- 播磨国風土記
- 図鑑番号
- K00357
