伊奘冉尊が最後に生んだつる草の神
どんな神さま?
伊耶那美神が最後に生んだ、つる草の神さまです。『日本書紀』の一書に名前が見えます。火の神を生んで大やけどを負った伊耶那美神は、亡くなる前に、水の神の罔象女、土の神の埴山姫、そしてこの天吉葛を生んだと記されています。物語はなく、『古事記』には登場しません。
名前の「よさづら」は、「よいつる草」という意味とされます。「つら」は、つる草のこと。くずや藤など、木にまきついてのびる草です。つる草は、昔のくらしにかかせないものでした。ものをしばる綱になり、かごをあみ、家の柱をむすび、せんいをとって布を織りました。くずの根からは、でんぷんや薬もとれます。そのめぐみを神にしたもの、と考えられています。
べつの説では、この神を、水をくむ「ひさご」、つまりひょうたんのこととみます。ひょうたんも、つるをのばして育つ植物です。火をしずめる祭りの祝詞には、伊耶那美神が火の神を生んだあと、「水の神、ひさご、川の水草、土の神」の四つを生んで、「火があばれたら、これでしずめなさい」と教えた、という話があります。水の神と土の神とともに生まれたこの神を、火を消すための水をくむ、ひさごの神と考えるのです。母神が、命とひきかえに、火をおさめる方法をのこしてくれた。そのやさしさを伝える神さまです。
登場する主な神話
- 火の神の誕生
解説:記紀の記述と神社の伝承を書き分けています。(日本の神さま365編集部)
基本情報
- 見出し表記
- 天吉葛
- 読み
- あめのよさづら
- 区分
- 記紀の神
- 主な出典
- 日本書紀
- 図鑑番号
- K00321
